医師の働き方改革の議論に基づく臨床工学技士法の一部改正 (2021年5月28日公布、同年10月1日施行) 等により、臨床工学技士に新たに与えられる業務に対して、必要となる知識・技能について修得する必要があります。


内容に関しては、こちら↓↓↓


「臨床工学技士の業務範囲追加に伴う厚生労働大臣指定による研修」

 


臨床工学技士の業務内容

臨床工学技士の仕事は多岐に渡っています。

基本的には、院内の医療機器管理がメインとされていますが、各病院によって業務内容は変わってきます。

 

大きく分けると以下のような業務内容があります。

 

呼吸治療業務、人工心肺業務、血液浄化業務、手術領域(周術期を含む)での業務、集中治療領域での業務、心・血管カテ―テル業務、高気圧酸素治療業務、その他の治療関連業務(除細動器、ペースメーカー、植え込み型除細動器)、保守点検関連業務

 

上記に個々の業務に関しては、各ページをご覧下さい。

 

まず、臨床工学技士には基本業務指針というものがあり、最新のものが臨床工学技士基本業務指針2010になります。

臨床工学技士は以下の業務指針の範囲内で業務を行うことが認められています。

 

 

<臨床工学技士基本業務指針2010>

<はじめに>

 近年の医療の高度化,専門分化等を背景として,チーム医療の円滑な推進は,より質の高い効率的,かつ,効果的な医療を提供する上で極めて重要である。よって臨床工学技士の諸業務及び業務の遂行に係る留意事項等を示し,以て臨床工学技士がその業務を適正に,かつ,医師その他の医療関係職種と連携して,円滑に行うことができることを目的として,昭和63年9月13日付けで「臨床工学技士業務指針」(以下,同指針)が厚生省健康政策局医事課長より発出された。

 そして,臨床工学技士法が施行され20年以上が経過し,医療技術の進歩による医療機器の多様化・ 高度化が一層進み,臨床工学技士の専門性を活かした業務が円滑に実施できるよう,同指針の見直しが望まれてきた。今般,厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」の報告書がとりまとめられ,臨床工学技士制度が十分に成熟し,臨床工学技士法施行当初の目的を達成したことから,同指針を廃止し,また,今後に関しては,職能団体や関係学会の自主的取り組みによって,医療技術の高度化等に対応し ながら適切な業務の実施が確保されるべきであるとの方向性が示された。これを受けて,社団法人日本臨床工学技士会及び関連学会団体等から構成する臨床工学合同委員会 において「臨床工学技士基本業務指針」を策定した。 また,新たな業務の実施に当たっては,養成機関や医療機関等において必要な教育・研修等を受けた臨床工学技士が実施するとともに,医師の指示の下,他職種との適切な連携を図るなど,臨床工学技士が当該行為を安全に実施できるよう留意しなければならない。なお,本指針は医療の発展や変容等に応じて,必要があれば適宜見直されるべきものである。

 

<業務全般にわたる留意事項>

  1. 臨床工学技士は,医師の指示の下に生命維持管理装置の操作及び保守点検を行うことを業務と し,以って,医療の普及及び向上に寄与することを目的とする.
  2. 臨床工学技士は,生命維持管理装置操作及び保守管理に関する専門医療技術者であることを十分認識し,医療機器の専門家として最善の努力を払って業務を遂行するものとする.
  3. 臨床工学技士は,医療チームの一員として医師その他の医療関係者と緊密に連携し,常に患者の状態を把握し,患者の状況に的確に対応した医療を提供するチーム医療の実践化を進め,より円滑で効果的かつ全人的な医療を確保することに協力するものとする.
  4. 臨床工学技士は,医療機器の専門医療職として積極的に医療機器安全管理委員会等へ参加し,医療安全管理委員会との連携の下に医療機関における安全対策に努めることとする.また,医療機器 が院内感染の媒体となることもあり,院内感染対策委員会等と緊密な連携の下に安全確保に努めることとする.
  5. 臨床工学技士は,患者の治療に関する検討会等への参加に当たっては,患者の身体状況の情報把握に努めると同時に,生命維持管理装置及び関連する医療機器の操作に関して必要とされる情報を提供するよう努めるものとする.
  6. 臨床工学技士は,患者又はその家族から生命維持管理装置及び関連する医療機器について説明を 求められたときは,医師の指示に基づき適切に対応するものとする.ただし,患者の容態や治療内容について説明を求められたときは,その旨を医師に報告し,医師による対応を求めるものとする.
  7. 臨床工学技士は,在宅医療で使用する生命維持管理装置及び関連する医療機器の操作及び日常点検等の適切な使用方法を,予め医師その他の医療関係職種等と緊密な連携の下に,患者及び家族等 に指導を行い,安全の確保に努めるものとする.
  8. 臨床工学技士は,生命維持管理装置及び関連する医療機器の動向等に関する情報収集や,関連分野の知識等に関心を払うこと等を通して常に研讃に励み,専門的な知識及び技術を保つように努めることが望ましい.
  9. 臨床工学技士は,他の医療関係者に対して生命維持管理装置及び関連する医療機器の適切な使用方法及び保守方法等の教育や情報の提供に努めるものとする.
  10. 臨床工学技士は常に機器のトラブル(不具合等)の調査に心がけ,「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」及び「医薬品・医療機器等安全性情報」を活用すること.
  11. 臨床工学技士は,業務の遂行に当たっては臨床工学技士法の趣旨を十分理解し,関連法規を遵守 しなければならない.
  12. 臨床工学技士は,業務上知り得た秘密を正当な理由無くして他人に漏えいしてはならない.これは臨床工学技士でなくなった後でも同様とする.
  13. 臨床工学技士は,医療機器業公正取引協議会「医療機関等における医療機器の立会いに関する基準」を遵守すること.
  14. 清潔野での作業では十分な知識・技能を習得し特に注意を払い,他の医療関係者との連携で十分な感染対策を講ずること.
  15. 生命維持管理装置を用いた治療では患者の容体が急変することもあり,必要な機器・材料が直ちに使用できる体制を整えておかなければならない.

 

<医師の指示に関する事項>

  1.  臨床工学技士は業務を適切に行うため,運転条件及び監視条件等について医師の指示を受けなけ ればならない.また,業務の遂行に当たり,疑義がある点についてはその都度医師に確認を求めるものとする.
  2. 臨床工学技士は,生命維持管理装置の操作のうち次に該当するものを行おうとするときはこれら の操作に係る装置の運転条件(運転時間,運転速度その他設定又は変更を行うべき条件),患者及び装置の監視条件(監視時間,監視項目その他設定又は変更を行うべき条件),薬剤,薬液及び酸 素ガス等の投与量,投与方法及び投与時期について,書面等により医師のできる限り詳細な指示を受けなければならない. ただし,現に操作を行っている際に,医師の口頭による臨機応変の具体的な指示に従うときはこの限りではない.

1)身体への血液,気体又は薬剤の注入

2)身体からの血液又は気体の抜き取り(採血を含む)

3)身体への電気的刺激の負荷