最近、臨床工学技士の事件が記事でも上がるようになってきました。医療事故の背景ともにいくつかのニュースについて、ピックアップしていきたいと思います(今回は記事やニュースを引用しています)
臨床工学技士を略式起訴 人工心肺取りつけミスで
(2023/4/5)
久留米大学病院にて平成30年、心臓弁手術の際、人工心肺装置の取り付け方法を誤り、70代だった男性患者を低酸素脳症になったとして、業務上過失傷害罪で男性臨床工学技士(47)を略式起訴にした。
起訴状によると、平成30年5月16日、心臓弁手術で人工心肺装置のポンプを逆方向に接続し、低酸素脳症などを発症させたとしている。
医療機器の調達巡り現金100万円受け取る
病院の工学技士長に懲役1年6月求刑
(2023/2/21)
千葉県東金市にある東千葉メディカルセンターの医療機器の調達を巡る贈収賄事件で、収賄の罪に問われた臨床工学技士長の男は、初公判で起訴事実を認めました。検察側は懲役1年6か月を求刑しました。
この事件は2021年3月中旬ごろ、東千葉メディカルセンターの臨床工学技士長・吉野英樹被告が、エクモの調達を巡り都内の医療機器会社に便宜を図った見返りに、現金100万円を受け取ったとして収賄の罪に問われているものです。2月21日、千葉地裁で行われた初公判で、吉野被告は「間違いありません」と起訴内容を認めました。
その後行われた論告で、検察側は「県の補助金が原資にも関わらず、会計上、協賛名目で支払わせる隠ぺい工作を図るなど、犯行態様が悪質だ」と指摘しました。
そのうえで「わいろ額も多額で公務員の社会的信頼を害した」とし、懲役1年6か月を求刑しました。
一方弁護側は「技士の資格も失い、社会的制裁を受けることになる」などと述べ、執行猶予付きの判決を求めました。
判決は3月13日に言い渡される予定です。
覚せい剤密売人に約13万本の注射器を販売 元臨床工学技士の男 初公判
医療用の注射器およそ13万本を、覚せい剤の密売人に売り渡したとして、麻薬特例法違反(ほう助)や覚せい剤取締法違反(使用・所持)などの罪に問われている元臨床工学技士の男の裁判員裁判の初公判が25日、松江地方裁判所で開かれ、男は起訴内容を認めました。
起訴状などによりますと、京都府の元臨床工学技士の男(47)は、2020年2月から2021年11月の間、大阪市の男女2人が覚せい剤の売人であることを知りながら、27回にわたり、医療用注射器13万120本を宅配便で送り、計865万円で販売し、密売人の手助けをしたとして麻薬特例法違反ほう助などの罪に問われています。
25日の初公判で、被告の男は「間違いありません」と起訴内容を認めました。
検察側は冒頭陳述で、「被告は自己の快楽のために覚せい剤を使用した」、「被告が密売人に頼まれる前に業者に注射器を注文していたことや、注射器密売の売り上げの56パーセントが被告の利益になっていたことなどから、自ら進んで注射器密売を続けていた」などと述べました。
一方、弁護側は、被告が2018年に「突発性拡張型心筋症」の疑いがあると診断を受けていたことから、「被告は覚せい剤を強心剤として使用していた」とし、「被告は密売人に脅されていたため、断れず何度も注射器密売を続けていた」と述べ、量刑で争う姿勢です。
この裁判員裁判は11月2日に判決が言い渡されます。
医師資格ない臨床工学技士 手術中に皮膚縫合で処分 千葉の病院
千葉市の市立病院で医師の資格がない臨床工学技士が手術中に医師に代わって皮膚の縫合を行っていたことがわかり、病院は患者に謝罪するとともに、担当の医師や技士を処分しました。千葉市美浜区の市立海浜病院によりますと、去年7月、患者の体に埋め込まれたペースメーカーの部品などを交換する手術が行われました。この手術でペースメーカーが正常に作動するか確認するために立ち会っていた病院の臨床工学技士が、手術中に担当の医師のすすめに応じて皮膚の縫合の一部を行ったということです。
ことし1月、千葉市に匿名の情報が寄せられ、病院が外部の有識者を含む検討委員会を設置して調査した結果、医師や技士が事実関係を認めたということです。調査に対して医師は「縫合は技士にも許される医療行為になったと勘違いし、教育になると考えて行わせてしまった」などと説明していて、患者の体調に問題はありませんでした。
医師法は医師資格のない人による医療行為を禁じていて、病院は技士が縫合を行ったことは不適切だったとして、患者に謝罪するとともに医師と技士を訓告処分にしました。
千葉市は29日会見を開き、市立病院を統括する寺井勝病院事業管理者は「市立病院の職員があってはならない医療行為を行った。重く受け止め、患者と市民の皆様に深くおわび申し上げます」と謝罪しました。
災害医療センターの臨床工学技士が勤務中に飲酒、治験の研究費で美顔器など購入
災害医療の総本山、国立病院機構「災害医療センター」(土井庄三郎院長)の臨床工学技士が、勤務中に飲酒したり、治験の研究費で美顔器などの私物を買っていたりしていたことがBuzzFeed Japan Medicalの取材でわかった。
管轄する国立病院機構関東信越グループは飲酒などをしていた臨床工学技士2人を懲戒処分(戒告)にし、当時の院長と統括診療部長を口頭厳重注意処分とした。
同グループの山田直樹・参事(人事担当)は、「国民の信頼を著しく失墜させる行為で遺憾である。今後このような不祥事が起きることのないよう再発防止に努めたい」と話している。
勤務中に飲酒 人工心肺を動かす臨床工学技士 1人オンコール状態が1年9ヶ月も臨床工学技士は、心臓手術などの際に一時的に心臓と肺の機能を代行する医療機器「人工心肺」を操作したり、人工呼吸器や人工透析などの医療機器の調整を行ったりする専門職。
同グループによると、2020年9月、外部の弁護士事務所に設けてある相談窓口に寄せられた内部告発により不正行為が発覚した。告発を受けて、同グループが同年10月、当時災害医療センターに所属していた臨床工学技士8人全員に聞き取り調査をした。その結果、勤務時間中の2020年1月9日午後7時頃、主任(40代)を含む3人が職場でハイボールを1缶ずつ飲んだことがわかった。主任らは午後7時半まで残業時間をつけていた。
国立病院機構の職員就業規則第16条5号では勤務時間中であろうがなかろうが、「職員は、職場において、みだりに飲酒してはならない。」と定められている。さらに当時、人工心肺などの体外循環装置を操作する能力を認定する「体外循環技術認定士」の資格を持つのは飲酒した主任の職員だけだった。
人工心肺が必要な手術がある場合は主任と、周辺の機器を管理するもう1人で対応していたが、飲酒した状態で操作する可能性があった。山田参事は「患者の命を預かる医療機関としては適切ではなかったと認識している」と話している。
関係者によると、この職員は時折、二日酔いの状態で出勤してくることがあった。「二日酔いになるぐらいの量の飲酒中に緊急手術の呼び出しがかかったら、酩酊状態で人工心肺を動かしていた可能性もある。患者の命がかかっていることを考えると危険な勤務体制が放置されてきた」とこの関係者は話す。
同センターでは月に2〜4回、緊急手術で人工心肺を動かすためにこの職員を呼び出すことがあり、1人で24時間常に待機する状態が2018年6月から1年9ヶ月続いていた。この間、1人の人間がずっと24時間オンコール(待機)勤務をせざるを得なかったことになり、組織として労務管理上の問題も抱えていたことになる。今はもう1人資格を持つ者が増えて解消された。
この労務管理上の問題について山田参事は、「この主任の上司だった臨床工学技士が亡くなり、それ以降は主任1人で対応していたようだ。2018年10月からずっと募集はかけていたが、臨床工学技士の絶対数も少なく、なかなか補充できなかった」と話す。他にも、勤務時間を付け替えて申告する行為が見られた。ただしそれにより給料を水増しすることはなかったという。
勤務中の飲酒と勤務時間の不適切な申告に対する処分として、同グループは3月22日付で、主任を含む臨床工学技士2人を懲戒処分(戒告)に、管理者2人を口頭厳重注意処分にした。
美顔器、高級掃除機、パソコンなどを治験の研究費で購入→自宅で使用
このほか、当時勤務していた8人の臨床工学技士のうち6人が、製薬会社の循環器系の治験の研究費で購入した物品を自宅で使用していたことが同グループの調査でわかった。
院外で使用していたのは以下の物品だ。
ノートパソコン19万9980円
iPad1台 7万8980円
iPadキーボード 1万9580円
iPadカバー 8800円
ビデオカメラ1台 11万5500円
ビデオカメラバッテリー 1万5400円
三脚 8250円
ダイソンの掃除機 6万500円
スチーマーナノケア(美顔器) 3万8500円
これらについては全て返却させ、注意指導したとして、国立病院機構関東信越グループが処分を見送っていたこともわかった。山田参事はその理由について「センターの財産である意識も薄く、持ち帰ってはいけないという認識も少なかった。聞き取り調査に対して、『掃除機が壊れていたので一時的に借りた』『パソコンのセットアップをするために持ち帰った』という職員もいた。私物として買ったのか、一時的に持ち帰って使用していたのかはわからない」と研究費流用の事実が確認できなかったと話す。
強制わいせつ致傷容疑 神戸大病院の臨床工学技士逮捕
高砂市内の路上で女性の下着を脱がせようとし、軽傷を負わせたとして神戸大医学部附属病院の臨床工学技士の男が逮捕されました。強制わいせつ致傷の疑いで逮捕されたのは、神戸大医学部付属病院の臨床工学技士の男(32)です。警察によりますと、男は12月、高砂市内の路上で歩いて帰宅途中の女性(20)に後ろから近づいてスカートと下着を脱がせて女性を転倒させ、両ひざに軽傷を負わせた疑いが持たれています。2人に面識はないということですが、防犯カメラなどから男を特定したということです。 調べに対し、男は容疑を認めているということです。
北海道「はまなす医院」、臨床工学技士の医師法違反
(2011/12/02)
「はまなす医院」は、医師免許のない臨床工学技士が血管拡張手術(PTA)をしたとされる医師法違反事件で逮捕された。
また、医院の運営法人の売上は、過去5年で約2倍に伸びていることも分かりました。患者が増加する中で医師の指示のもと臨床工学技士が血管拡張手術(PTA)をしていたと考えられ、同医院内では、常態化していたとみて調べられています。
これ以外にも、臨床工学技士が関わった事件は他にもあります。
やってはいけないことはやらないように、気を引き締めて、日々過ごしていかないといきましょう。
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